国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)の科学者らは、適切な対策がとられれば、気候変動緩和と生物多様性保全の二つの目的を同時に達成する、大きなコベネフィット(共通便益)を生む可能性のある地域をマッピングした世界地図を発表した。植生バイオマスと土壌有機体の炭素を合算して密度をマッピングした炭素貯蔵の現況図に、生物多様性保全のために先行的取組みが必要な地域とすでに破壊が進み事後的回復取組みが必要な地域をランク付けして示す地図を重ね合わせた。炭素密度が高くかつ取組み効果の高い地域が大きなコベネフィットを生むホットスポットである。先行的取組みのホットスポットは、アマゾン南西部、ニューギニア島、スラウェシ島、アラスカ・カナダ・シベリアの北方林とツンドラ、事後的取組みのホットスポットは熱帯アンデス、ボルネオ島、半島マレーシア、スマトラ島である。研究は、公的な取組みがあるのは、ホットスポットのうちわずかであるとして、取組みの必要性と実施された場合の効果の大きさを強調している。