フィンランド環境研究所(SYKE)は、海洋調査船による恒例の冬季モニタリング航海において、バルト海の主要な海盆の低酸素状態は継続しており、海洋表層のリン酸塩濃度は増加していることが判明したとの調査結果を報告した。同航海では栄養塩や酸素の状況、有害化学物質やマイクロプラスチック、水中騒音などの情報が収集され、採取された栄養塩サンプルは、バルト海海洋環境保護委員会(HELCOM)が行う富栄養化状況の評価を更新するための重要な情報を提供する。同航海ではフィンランド湾の、特にヘルシンキ以東の海洋表層でこれまでになく高濃度のリン酸塩が測定され、最東端の観測点では冬季モニタリング航海で過去最高の数値を記録した。長期的には、陸地と大気からもたらされる栄養塩の負荷を減らし、気候変動を抑制することが、海の良好な状態を実現する上で重要な役割を果たす。次回は2023年4月、春の植物プランクトンの大増殖に焦点を当てたモニタリング航海の実施が予定されている。