スウェーデン環境保護庁は、スウェーデン国内の動植物種の数は増加しているが生物多様性は劣化しているとする報告書「スウェーデンの生物多様性」を発表した。この報告書は、同国における景観のタイプとその現状について幅広く実地調査したもの。それによると、同国では19世紀中期以降、国外からの動植物種の到来等により国全体の種数は増加したが、かつて国内各地に広く生息した動植物が希少化し、身近な環境で見られる生物種の数は減っているという。これは農林業の近代化によって、かつての変化に富んだ景観が、広大で画一的な森林や農地になり、多くの種の生息地が変化または破壊されたことが原因である。この問題に対し、広葉樹や老齢林の保全、倒木の留置等の対策が取られているが、多様性の低下に歯止めがかかった兆候はないという。同庁では、「近年の木材需要の増加が再び動植物の生活を脅かしており、また森林の肥沃化、排水による地下水減少、外来植物の移植、収穫時の環境への配慮不足、枝葉や切り株の撤去が増えていることも問題」だとしている。