フランス政府は、「健康および環境に深刻な害を与える恐れのある化学物質由来の家庭ごみに関する政令」を官報に公示した。これにより、こうした廃棄物の管理責任は化学物質の生産者が負うことになり、生産者には、回収・処理を担当する部門の立ち上げが求められる。対象となるのは塗り壁材、接着剤、ペンキ・溶剤、排水パイプ用洗浄剤、家庭用消火剤等で、「拡散性特定家庭ごみ(DDS)」とも呼ばれる。現在分別収集されているのは、推定総重量5万トンのわずか3分の1。収集作業員の健康リスクに加え、回収されないDDSの水質汚染など環境リスクが懸念されている。今回の政令は、生産者、環境保護団体、消費者団体等各関係者との協議を経て定められた。今後、生産者は、管理回収システムを整えて承認を受けるか、定められた要件を満たして認可エコロジー機構の一員となることが求められる。また政令には、DDS無料収集の全国導入、生産者によるDDSのリサイクル活用技術の開発行動計画策定、DDS分別収集量の拡大目標(年10%)等も盛り込まれた。