アメリカ海洋大気庁(NOAA)とワシントン大学の海洋学者らは、1980~2011年のデータをもとに、南極大陸周辺の海域で生成される低温深海水(南極底層水)の量が激減しているとの研究結果を公表した。これまでの研究で、過去数十年における南極底層水の温度上昇と塩分低下が報告されているが、今回の研究で、その水量が平均で毎秒約800万トンという驚異的なペースで減少していることが判明した。これは、ミシシッピ川の平均流量の約50倍に相当するという。南極底層水は、海面付近の大気で冷やされた海水が、結氷によって塩分が高くなり重くなることで生成され、海底へと沈み込んだ後、温度の高い上層の海水と徐々に混じりながら北上し、ほぼ全世界の深海へと拡がる。こうした深海の海流は、地球の熱と炭素の移動に深く関わり、底層水の温度や塩分濃度、溶存酸素、溶存二酸化炭素の変化は、海面上昇や地球の熱吸収率など、地球の気候形成に重大な影響を及ぼすと考えられている。このため、科学者らは、深海を含め海洋全体の観測を今後も続ける必要があるとしている。
情報源 | アメリカ海洋大気庁(NOAA) プレスリリース |
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国・地域 | アメリカ |
機関 | アメリカ海洋大気庁(NOAA) |
分野 | 地球環境 |
キーワード | NOAA | 気候変動 | 南極 | アメリカ海洋大気庁 | 海洋循環 | 海流 | 深海 | 底層水 | 塩分 | ワシントン大学 |
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