東京薬科大学は、同大学の渡邉一哉教授らのグループが、微生物燃料電池の廃水処理性能の向上に成功し、実用レベルに達したことを確認したと発表した。微生物燃料電池は、微生物の代謝能力を利用して有機物などの燃料を電気エネルギーに変換する装置で、廃水や廃棄物中の有機物から電気エネルギーを回収できる。今回、廃水処理に適した新たな微生物燃料電池装置(スラローム流式装置)を開発。実験室サイズの装置(容積約1L)を用いた模擬廃水処理実験により、従来方式の廃水処理法である活性汚泥法と同等の処理速度を確認した。この結果は、微生物燃料電池式の廃水処理性能が実用レベルに達したことを示すもので、汚濁廃水中の有機物から電気エネルギーが回収されるだけでなく、活性汚泥法よりも少ないエネルギーでの処理が可能となることから、まったく新しい創電型の廃水処理に繋がることが期待されるという。なお、同成果は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基盤技術開発プロジェクトによるものである。