産業技術総合研究所は、(公財)高輝度光科学研究センターと共同で、有機鉛ペロブスカイト太陽電池の作製過程を、X線回折により解析し、発電層ができる過程を明らかにしたと発表した。有機鉛ペロブスカイト太陽電池は、ハロゲン化鉛とハロゲン化有機アミン化合物を混合させ、ペロブスカイト構造の結晶を形成した材料を発電層とする太陽電池。高効率で低コストの太陽電池として期待され、研究開発競争が加速しているが、高効率のものを再現性良く作製することが難しいなど、作製プロセスに多くの課題がある。今回、大型放射光施設SPring-8を利用したX線回折法を用いて、製造過程で発電層が形成されていく様子を毎秒10コマの撮影速度でリアルタイム観察し、異常拡散などの現象を初めて見出した。発電層形成過程について今回得られた知見をもとに発電層の構造解析と素子作製プロセスの開発を相補的に行うことにより、研究開発のさらなる加速が期待されるという。