九州大学は、見えない光とも言われ、可視光線に近い波長を有する「近赤外光」を用いて、水から水素を発生させることに成功した。これまでの水素生成モデルは、波長が600nmまでの可視光領域までの利用に止まっており、赤外線のエネルギーを活用することができなかった。今回研究グループは、分子内に3つのルテニウム中心を含有する金属錯体を光の捕集分子として採用し、波長が700~800nmの近赤外光が水素生成を駆動していることを確認した。今回の成果は、天然の光合成でも難しいとされる長波長域の光を、人工分子システムで初めて実証したので、従来モデルの約2倍に相当する太陽光エネルギーの活用可能性が示唆されたという。