環境省は6月にドイツ・ボンで開催された国連気候変動枠組条約の補助機関会合(SB62)において、JCM(二国間クレジット制度)とパリ協定第6条の実施に関する取り組みを積極的に発信した。国際的な制度整備と脱炭素技術の展開をめぐる議論の場で、日本の貢献と方向性を明確に示した形だ。
6月18日には、JCMグローバルパートナーシップ第5回会合が開催され、JCMパートナー国30か国のうち18か国が参加。各国のプロジェクト事例や制度的課題について意見交換が行われた。日本政府は、GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)などの支援策を紹介し、制度の拡充と実施加速に向けた方針を説明した。
同日および翌19日には、パリ協定第6条の実施対話が行われた。環境省JCM推進室長の飯野暁氏が、ベトナムでの高効率変圧器導入など、JCMを通じた脱炭素技術の普及事例を紹介し、制度の予見可能性や手続きの簡素化、運営能力の強化が今後の鍵であると指摘した。また、パリ協定6条実施パートナーシップセンター(A6IPセンター)長の小圷一久氏は、報告制度の整備や専門家育成、企業向けマニュアルの作成など、制度実装に向けた支援活動を報告。民間資金の導入を促すため、プロジェクト登録段階での承認取得や初期報告の早期提出の重要性を強調した。