名古屋大学は、湖沼に溶存する硝酸イオンの酸素同位体に着目し、硝酸が硝化菌によって生産される速さ(総硝化速度)を定量化する手法を開発した。同大の研究グループは、湖沼に供給される硝酸のうち、降水を通じて供給される硝酸の酸素同位体の相対存在比が特異で、とりわけ質量数17の同位体を異常濃縮していることを利用することで、2011年に摩周湖(北海道)における総硝化速度の実測調査を行っている。今回、湖水中に栄養塩が豊富で、流出入河川の影響も大きい琵琶湖に、この手法を応用して年間硝酸生産量の定量を行い、1)1年間に硝化によって生産される硝酸の総量は、河川からの総流入量の3倍を超えること、2)湖内の一次生産(光合成)の季節変化に連動して、夏に速く、冬に遅くなる季節変化をしていること、3)窒素栄養塩を湖内で何度もリサイクルして有効利用する生態系が発達していること、などを見出した。国内外の湖沼や海域で、総硝化速度の定期的な観測や長期モニタリングが可能となり、富栄養化等の原因究明に役立つ成果であるという。
情報源 |
名古屋大学 プレスリリース(PDF:594KB)
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機関 | 名古屋大学 |
分野 |
自然環境 水・土壌環境 |
キーワード | 生態系 | 湖沼 | 名古屋大学 | 栄養塩 | 硝化 | 富栄養化 | 同位体 | 定量化 | 硝酸 | 琵琶湖 |
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