(独)国立環境研究所は、同研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第33号「越境大気汚染の日本への影響-光化学オキシダント増加の謎」を刊行した。わが国では、環境対策により、光化学オキシダントの原因物質である窒素酸化物(NOx)と非メタン炭化水素の濃度が経年的に減少しているが、オキシダント濃度はこの20年間に約1%/年の割合で増加している。その要因の一つとして、大気汚染物質の排出量が急増している東アジア域からの越境汚染が考えられている。本号では、観測データやシミュレーションモデルを用いて、越境汚染による高濃度オキシダント発生を再現した成果をはじめ、東アジアにおける将来の大気汚染物質の排出シナリオに基づく、地表面近くのオゾン濃度の予測結果を示している。また、環境研究を進めるにあたっての地方環境研究機関との協力体制についても紹介している。