環境省は、7月10日・11日に新潟市で「第12回大気汚染に関する日中韓三カ国政策対話(TPDAP)」を開催した。これは、平成25年の第15回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM15)での合意に基づき、毎年実施されている三カ国間の政策協議である。
今回の会合には、日本・中国・韓国の行政官および研究機関の専門家が参加。初日は朱鷺メッセ、2日目はアジア大気汚染研究センターにて開催された。議題は、北東アジアにおけるオゾン制御に関する最新研究、大気質管理政策、今後の協力方針など多岐にわたった。
専門家ワーキンググループでは、オゾンの発生要因や前駆物質である窒素酸化物(NOₓ)・揮発性有機化合物(VOC)の対策、越境大気汚染の影響、衛星観測の活用などが議論された。三カ国共通の課題として、オゾンと温室効果ガスの統合的管理の必要性が確認され、技術交流の継続が合意された。
政策対話では、日本が光化学オキシダント(オゾン)の環境基準の再評価やNO2の衛星観測について報告。韓国は大気質管理政策、中国は大気汚染防止の現状を発表した。対流圏オゾンの発生源が各国の排出だけでなく、アジア全域や北半球に起因することが指摘され、三カ国が連携して対策を進める重要性が再確認された。また、過去の協力による大気質改善の進展を踏まえ、2026〜2030年の次期5か年行動計画について議論され、概ね合意に至った。今後の取組として、PM2.5やオゾンの生成・制御に関する知見の共有、大気環境と気候変動の相互作用に基づく統合管理手法の共有、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)などを通じた成果の拡大が確認された。――次回の政策対話は2026年に中国で開催予定であり、今回の成果は本年の第26回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM26)に報告される。