東京大学と(国研)産業技術総合研究所は、「氷結合タンパク質(IBP: Ice-binding proteins)」の機能を評価し、生物の低温耐久性の向上などに向けた活用方法を提示した。IBPは、不凍タンパク質とも呼ばれ、1960年代以降、低温環境に生息するさまざまな生物から発見されている物質。これまで分子構造や氷結晶との結合力に関する研究成果が報告されていたが、低温下での生きた個体動物の耐性や、細胞機能に対するマクロな効果に関する研究は進んでいなかった。同研究所は、魚類や微生物に由来するIBPを見出すなど、氷の表面に結合してその成長を抑制するIBPの機能解明に取り組んでいる。今回、モデル生物として広く活用されている「線虫(C. elegans)」の神経や筋肉などに、部位特異的にIBP分子を導入し、室温で卵から飼育した後に低温環境(マイナス5 ℃/0 ℃)に曝し、再び室温に戻して生存数をカウントしたところ、1)体壁筋にIBPを発現した線虫の生存率が著しく上昇し、2)凍結したC. elegansの生存率とIBPの間には高い相関関係が見られ、3)IBPが生物の低温耐久性を高める「細胞保護機能」を有することが確認できたという。
情報源 |
産業技術総合研究所 研究成果一覧
東京大学大学院新領域創成科学研究科 プレスリリース(PDF) |
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機関 | 産業技術総合研究所 東京大学 TIA |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 東京大学 | 産業技術総合研究所 | 氷結合タンパク質 | IBP | 生物の低温耐久性 | C.elegans | 細胞保護機能 |
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