愛媛大学を中心とする研究グループは、微生物の代謝を利用して、鉄筋コンクリートのなかの溶存酸素濃度を低下させることで、「鉄筋腐食」の抑制効果が発現することを実証した。鉄筋腐食は、モルタルやコンクリート(セメント+水+骨材)と鉄筋の間に生じる電気化学的反応によって進行し、鉄筋への「酸素透過」が要因のひとつと考えられている。同研究グループは、枯草菌(納豆菌)が環境ストレス耐性の高い好気性微生物であることから、枯草菌をコンクリートに練り混ぜて養生し、細孔溶液中の溶存酸素を消費させることで鉄筋腐食の要因を緩和するコンクリート製造工程を考案した。実際に供試体を作製し、腐食試験、電気化学的計測を行うとともに、建築基準法施行令の基準にならい材齢28日および91日のおける酸素透過速度を算定した結果、当該供試体のなかで枯草菌の代謝に由来する溶存酸素濃度の低下、すなわち鉄筋腐食の緩和・抑制につながる効果の発現が示唆されたという。