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 文化財にやさしい空気清浄化ソリューション!経済効果も絶大 清水

発表日:2022.07.29


  清水建設(株)は、美術館・博物館等の新築・改修工事向けソリューション技術として、コンクリートから発生するアンモニアを早期に低減させる手法を構築した。1965(昭和40)年頃から、美術館・博物館においてコンクリート収蔵庫に収納された文化財(油絵、染色品、絹製品等)が変色する現象がしばしば起きるようになった。当事者である東京文化財研究所(旧・東京国立文化財研究所)をはじめ、学識経験者が原因究明に取り組んだ結果、文化財の変色はコンクリート材料(セメント・骨材)に由来するアンモニアガスによってもたらされたことが明らかになった。しかし、抜本的な対策は未だに確立されておらず、現状では「美術館・博物館のための空気清浄化の手引き(平成31年3月、東京文化財研究所)」に基づく施設整備・運用が行われている(アンモニア濃度の室内推奨値:30 ppb以下)。同社は、当該手引きに基づく既存のアンモニア低減対策が単発的かつ対処療法的であり、施主が満足する効果を十分発揮できていないととらえ、コンクリート造建物に関する実績や知見を結集し、「発生抑制・除去・濃度管理」三位一体となったソリューションを創出した。発生抑制は、原材料の調達の難易度を考慮した上で、セメント・骨材・減水剤等の材料選定や配合設計の最適化を図り、最適な生コンプラントを選定・確保することで実現する。アンモニアの除去には、コンクリートの散水養生や室内の加温・換気に加え、ケミカルフィルタによる化学吸着手法を導入した。その際、筒型ファンで吸引した空気のアンモニア成分を活性炭フィルタに吸着させ、浄化された空気のみを室外に排出することで、施設周辺の大気環境にも配慮している。濃度管理においては、化学分析に基づく精密な環境測定データと、工事の進捗に応じて変化する施工時の室内換気量や気温等の推移を踏まえたアンモニア濃度の経時変化の予測データにより、高精度な予実管理を行う。新たなソリューションを実際の美術館新築工事に適用した結果、コンクリートの打設後、室内に拡散したアンモニアを基準値まで自然減衰させるために必要な「枯らし期間(1年以上)」を一気に短縮できることが確認された(無対策物件比)。文化財の劣化防止のみならず、施設運営をめぐる投資回収の遅れをカバーできるといった利点も訴求しつつ、提案活動を進めていくという。

情報源 清水建設(株) ニュースリリース
機関 清水建設(株)
分野 大気環境
環境総合
キーワード コンクリート | アンモニア | 博物館 | 美術館 | 文化財 | 投資回収 | 東京文化財研究所 | 空気清浄化 | ケミカルフィルタ | 枯らし期間
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