(国研)森林研究・整備機構森林総合研究所などの研究グループは、ボルネオ島の熱帯雨林における実験から、熱帯雨林の巨大高木(巨木)の土壌乾燥に対する気孔調節は限定的であると野外実験の結果を発表した。植物は蒸散によって植物体内の水分を失い過ぎないよう、環境条件等に応じて気孔の開き具合を調節しているが、その調節の程度や感度は樹木によって異なる。同研究グループは、熱帯雨林に生育するフタバガキ科の巨大高木(樹高38-53m)の根元に傘状のビニールシートを張り、雨水が地面に浸み込むのを防ぐことで人工的に土壌を乾燥させる実験を行った。今回調べた巨大高木においては、土壌が乾燥しても気孔の開き具合の調節は限定的で、傘を設置しない自然状態のものと比べて大きな違いは見られなかった。一方、土壌から葉までの樹木全体の水の流れやすさが低下した。この結果は、この巨大高木は強い土壌乾燥に対する耐性が高くないことを示唆するものであるという。