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 有機ランキンサイクルに再注目!宮城県の設備工事会社 実用化に手応え

発表日:2023.03.06


  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、仙台市太白区の(株)馬渕工業所等が開発を進めている「有機ランキンサイクル(ORC: Organic Rankine Cycle)発電システム」の特長などを紹介した。ORCは、タービンの作動媒体として水よりも沸点の低い有機媒体を用いる火力発電の一方式。燃料ボイラーで水蒸気を作る方式と異なり「中低温の熱源」で水蒸気を発生させることができる。木質バイオマス利活用の新規技術として、東日本大震災被災地の電源として期待された時期もあった。しかし、水蒸気そのものを使う方式よりも設備コストが割高となるといった理由から、その導入普及は遅々として進んでいなかった。本成果は、NEDOの助成事業「中小・ベンチャー企業を対象とした『戦略的省エネルギー技術革新プログラム』(2020年度緊急追加公募)」のもと、(株)馬渕工業所と共同研究先(東京大学、宮城県産業技術総合センター)が実用化まで2年という期間を定め、実現にこぎつけたもの。助成先はアフターコロナの市場をにらみ、新たなORC発電ユニットの開発コンセプトを提案している。これからの地域社会では「局地的熱源(工場、温泉など)による電気供給」の個別化・分散化がさらに進むと予想し、小規模な熱源への対応はもとより、従来のORCシステムよりも高効率化かつ低コストな製品開発を目指した。「独立型ORC発電システム」と呼んでいる実証システムは5 kW級の装置。作動媒体の膨張機に容積型の「スクロール方式(一対の同一形状の渦巻体を組み合わせて流体を移送する仕組み)」を採用している。最終年度(2022年度)の実証運転では、廃温水温度80℃以上で4.5 kWの電力を継続的・安定的に出力できることが確認された(実証場所:鈴木工業株式会社・エコミュージアム21)。既存のORC発電システムよりも小さな熱量で発電可能、すなわち“国内製品最高レベルの省エネ化”が達成できたと訴求している。引き続き、全国各地で工場廃熱や排ガスなどを利用した実証実験を進めつつ、上市と新市場創出を経て、原油換算で0.55万kL(目標年次:2025年頃)の省エネ効果を発現させ、2030年以降はさらなるGHG排出量削減に貢献するという。

情報源 新エネルギー・産業技術総合開発機構 ニュースリリース
(株)馬渕工業所 お知らせ
機関 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (株)馬渕工業所 東京大学生産技術研究所 宮城県産業技術総合センター 鈴木工業(株)
分野 環境総合
キーワード 木質バイオマス | 蒸気タービン | ORC | 仙台市 | 馬渕工業所 | 戦略的省エネルギー技術革新プログラム | アフターコロナ | 有機ランキンサイクル | 有機媒体 | スクロール方式
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