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 農研機構など、安定同位体比でシカ食害の背景要因を解明

発表日:2021.05.06


  農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、森林総合研究所および中央大学は、窒素安定同位体の比率「δ15N値(=15N/14N)」を用いて農作物を採食しているシカが早熟化していることを明らかにした。シカによる農業被害が深刻化しており、牧草や野菜類を食害する個体の効率的な駆除が喫緊の課題となっている。農研機構等は、長野県と群馬県で捕獲された雌シカの骨コラーゲンと餌源のδ15N値を測定し、0歳・1-4歳・5歳以上の3グループごとの農作物依存度調査を試行した。もとより農作物は栄養価が高く、肥料の影響によりδ15N値は比較的高くなる。一方、骨コラーゲンは代謝速度が遅いため経年的な採食傾向が反映されやすい。今回、「δ15N値」を指標とすることで、4歳以下のシカではδ15N値が高い個体ほど体サイズ(頭骨最大長)が大きいことや、1-4歳のシカでは体サイズが大きい個体ほど単年の妊娠率が高いことが明らかになった。これらの知見は農作物の採食がシカの妊娠率向上(個体数の増加)に間接的な影響をおよぼし、さらなる農業被害につながる可能性を示すものであり、「δ15N値」を活用した新たな被害防止対策の開発が期待できるという。

情報源 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 プレスリリース
森林総合研究所 プレスリリース
中央大学 研究新着ニュース
機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 森林総合研究所 中央大学
分野 自然環境
キーワード 肥料 | 駆除 | シカ | 窒素安定同位体 | δ15N値 | 早熟化 | 骨コラーゲン | 農作物依存度 | 妊娠率 | 被害防止対策
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