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 弘前大、廃タイヤの海洋投棄による新たな問題点を指摘

発表日:2021.11.05


  弘前大学は、海洋に投棄された廃タイヤによってヤドカリが捕殺され、沿岸生態系に悪影響をおよぼす可能性があると指摘した。かつては廃タイヤを人工魚礁として活用する風潮もあったが、現在は有害物質の溶出や物理的改変による生態系への悪影響が懸念されている。同大学は、先行調査において、沿岸の砂泥海底に不法投棄された廃タイヤの内側に大量の巻貝の殻やヤドカリが存在することを発見し、脱出できなくなったヤドカリが死んでいるのではないかと考えた。今回、海洋投棄された魚網や蟹カゴなどの漁具によって、意図しない水産生物の捕殺が引き起こされる「ゴーストフィッシング(幽霊漁業)」と同様の現象が、廃タイヤによっても引き起こされている可能性を検証するために、陸奥湾沿岸の水深8 mの砂泥海底に6基の廃タイヤを設置し、タイヤの内側に侵入したヤドカリの数と種類、体サイズを1年間モニタリングした。その結果、廃タイヤが1基・1日あたり0.58匹のヤドカリを捕獲していることや、捕獲数の季節変動パターンなどが明らかになった。さらに、2種のヤドカリについてタイヤ内外の移動を水槽実験によって調べたところ、ヤドカリはタイヤの内側に侵入できるが、外側へは脱出できないことが分かった。海の掃除屋であるヤドカリがタイヤのネズミ返し様構造によって脱出できず、死んでしまうゴーストフィッシングについて理解を深め、不法投棄された廃タイヤのみならず船体の衝撃吸収材等に活用されている廃タイヤの海洋流出などを想定した対策検討に結びつける必要があるという。

情報源 弘前大学 プレスリリース
機関 弘前大学
分野 ごみ・リサイクル
自然環境
キーワード 不法投棄 | 沿岸生態系 | 廃タイヤ | ゴーストフィッシング | 海洋投棄 | ヤドカリ | 幽霊漁業 | 陸奥湾 | 水槽実験 | 海の掃除屋
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