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 東大など、生物多様性の評価を模した新たな都市計画手法を提案

発表日:2021.12.08


  東京大学先端科学技術研究センターの研究者らは、生物多様性の評価手法「Shannon-Weaver指数」の理論を用いて、「アメリカ大都市の死と生(Jacobs, J., 1961)」の主張の一部(都市商業の多様性)を定量・可視化した。同書は、1950年代のアメリカにおける都市政策の問題点を指摘し、街区の活気やコミュニティ再生における多様性(以下「都市多様性」)の必要性を説いている。都市計画やまちづくりに係わる施策に影響を与えてきた書物のひとつではあるが、都市多様性の定義や効果といった具体的な内容の議論は未だ尽くされていない。同センターと東急(株)は、2019年から都市多様性に関する共同研究を実施している。今回、「直感ではなくデータに基づいた都市計画やまちづくり(アーバンサイエンス)」研究の一環として、都市多様性の概念を「街路レベルにおける小売店の集積(量)」と「小売店の種類(タイプ)の豊富さ」と定義し、地域グリッド(200m格子)のなかに存在するカフェ、ホテル等とそれらの数を、昆虫の種類・数のように読み替えるユニークな手法を創出した。スペインで人口が最も集積している上位50都市を対象に実装し、クレジットカードからの決済情報(十分に匿名化された集計データ)を分析した結果、指数化された都市多様性とエリアの売り上げの間に正の相関関係があることが分かり、さまざまな店舗がモザイク状に集積している街区に多くの富が惹き付けられていることを示す科学的根拠(データ)が得られた。また、当該データ(都市多様性指数)を地図化することに成功した。ビッグデータ活用、デジタルテクノロジーの導入など、アーバンサイエンスに新しい局面をもたらす可能性が示唆されたと述べている。

情報源 東京大学先端科学技術研究センター プレスリリース
機関 東京大学先端科学技術研究センター
分野 環境総合
キーワード 都市計画 | まちづくり | ビッグデータ | Shannon-Weaver指数 | アメリカ大都市の死と生 | 都市多様性 | 東急 | アーバンサイエンス | 都市多様性指数 | デジタルテクノロジー
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