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 神戸大など、両生類の広域調査用PCRプライマーを開発

発表日:2022.02.21


  神戸大学、長浜バイオ大学、いであ(株)、京都大学など、7つの機関からなる国際共同研究グループは、両生類(カエル類・イモリ類・サンショウウオ類)のDNAを網羅的に増幅可能な分析系を特定し、全国規模のモニタリング調査に活用できることを実証した。同研究グループは、両生類の個体数減少が懸念されており、生物多様性モニタリング等の効率化が必要であると考え、「環境DNA分析」の利点や近年の動向に着目した。先ず、インターネット上のオープンデータベースから合計1,034の両生類のDNA配列を取得し、種間で同じ塩基配列を持っている領域を探索するといった手順で、ミトコンドリア16SrRNA領域に両生類のユニバーサルプライマーセット(候補)を5つ設計した。次に、それらのプライマーセットが両生類に適したものであるか否かをコンピューター上で再現・検証し、PCR増幅試験(in vitro)を行い、どのセットも両生類のDNAを増幅に利用できることを確認した。さらに増幅しやすさと判別精度の指標(特異性、種解像度)を評価したところ、どちらも秀でている分析系が見い出された。本邦の水田生態系10地域・122地点において、従来法による野外調査(採捕・目視調査)と採水を行うとともに、当該分析系を適用した環境DNAメタバーコーディングを行い、双方の結果を比較した結果、両生類に分類される3目(有尾目・無尾目・無足目)を全て検出可能であることが示され、全地域で従来法による調査よりも環境DNA分析の方が多くの種を検出することができた。水を汲むだけで誰でも簡便に両生類の生息状況を調べることができる、画期的かつ統一的な調査手法になり得るという(掲載誌:オンライン国際学術誌「Metabarcoding and Metagenomics」、DOI:10.3897/mbmg.6.76534 )。

情報源 神戸大学 研究ニュース
京都大学 Latest research news
機関 神戸大学 長浜バイオ大学 いであ(株) 京都大学
分野 自然環境
キーワード 農業生態系 | 両生類 | 環境DNA | メタバーコーディング | 生物多様性モニタリング | ユニバーサルプライマー | ミトコンドリア16SrRNA領域 | PCR増幅試験 | 特異性 | 種解像度
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