沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニット、琉球大学、NTTコミュニケーションズの共同研究チームは、「遠隔操作によって作動する無人の水中ロボット(以下『水中ドローン』)」を用いた環境DNA(eDNA)調査の実証成果を報告した。──サンゴの直接観察には、スキューバダイビングと分類学の技能が必要となるが、それらを併せ持つ人材の確保はそう簡単ではない。研究チームは、沖縄本島北部に在るシゲオリーフにおいて、水中ドローンを用いた環境DNA(eDNA)サンプルの採取などを試みた。その結果、計4地点でeDNAを効率的に採取し、カスタムデータベースを作成することに成功した。また、eDNAの分析結果は、過去に行ったサンゴ種の観察データと一致しており、直接観察と遜色のない精度を確保できることが明らかになった。さらに、これまでアクセスが難しかった地点でも活用できることが示唆された。──ただし、サンプリングの成功率は場所によって異なり、eDNA分析では近縁のサンゴ種を区別できないといったケースも見られた。そうした課題はあるものの、研究チームは、水中ドローンによるeDNA調査は"貴重な新ツール"となりだろう、と結んでいる。