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 国環研、夏季五輪マラソン開催の将来方向を提示(連携大学院の成果)

発表日:2022.04.07


  国立環境研究所は、夏季五輪マラソンの開催時期等に関する気候変動影響研究の成果を発表した。同研究所は、全国17の大学・研究科と連携大学院協定を締結し、大学院生の受入れ、研究指導や講義、学位論文審査などを行っている。今回の成果は、東京大学大学院・新領域創成科学研究科・環境システム学専攻における連携講座の運営を通じて得られたもの。「猛暑」が夏季の屋外スポーツに影響をおよぼすことは広く知れ渡っているが、気候変動下でアスリートが曝される暑熱環境を定量的に評価した事例は少ない。今回、同研究所は、気候変動と社会経済的な変化の両側面から、夏季五輪ホスト都市の運営能力や暑熱環境などを評価する手法を考案した。候補都市として25カ国・70都市を選定し、同研究所が開発した気候モデルを用いて、RCPシナリオごとにWBGTレベル(国際マラソン医学協会のマニュアルに準拠)の変化を時間単位で解析した(対象期間:1994~2013年および2080~2099年)。その結果、27%の都市が、8月時点で「警告」あるいは「中止」レベルとなり、21世紀末頃はアスリートが危険な暑熱環境に曝されることが分かった。また、各都市において4つの適応策(①22時から翌6時の間に開催、②10月開催、③国内の複数都市で開催、④①~④をすべて実施)を実行した場合、それらの効果はどのRCPシナリオでも④>②>③>①の順に大きく、①の効果は限定的で、単独で実施したときの効果は②が最大となることが明らかになった。スポーツに着目した先進的な研究成果であり、オリンピック等の将来開催における適応策の要否判断、効果検証を踏まえた施策決定の必要性を示唆しているという。

情報源 国立環境研究所 報道発表
機関 国立環境研究所
分野 地球環境
健康・化学物質
キーワード 猛暑 | WBGT | 暑熱環境 | 気候変動影響 | RCPシナリオ | マラソン | 連携大学院 | 夏季五輪 | ホスト都市 | 国際マラソン医学協会
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