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 CO2再資源化の新たな道拓く!低温条件下で逆シフト反応を実現

発表日:2022.11.30


  早稲田大学理工学術院の関根泰教授らの研究グループは、水性ガスシフト反応の逆反応(RWGS: reverse water gas shift reaction)を低温で実現する手法を発見した。石化由来プラスチック削減の潮流が強まり、原料の代替や地球環境に配慮した製造法の確立が求められている。近年注目されている人工光合成も、こうした流れを受けて登場した技術の一つ。太陽光エネルギーで水を分解し、得られた「水素」と発電所・工場の排出ガスに由来する「CO2」から、軽量で使い勝手の良いオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン等)を製造するフローが想定されている。RWGS(反応式:CO2+H2→CO+H2O)は、後段のオレフィン製造プロセスの鍵となる有機化学反応。2050年カーボンニュートラル実現に向けて、その実用化に大きな期待が寄せられている。同教授らは、触媒技術の省エネ化を追求しており、化学反応は高温ほど速く進むという常識を覆す研究成果を報告している(Murakami, K. et al., 2020)。RWGSはアンモニアを発生させるための反応と同様に、吸熱反応であり、反応を進行させるためには700度以上の加熱が必要とされてきた。また、低温での反応に適した既存の(在来の)触媒は見当たらず、副反応としてメタネーションが同時に起こるといった課題があった。本研究は、これらの課題を払拭することができる新たな触媒プロセスの創出を狙ったもの。150度程度(=423 K程度)の低温条件下で多角的な検証を進めた結果、外部電場を印加した触媒反応により、高い反応率・高い選択性が進行することが明らかになった。さらにオペランド分光を用いた分析手法を導入することで、最適な触媒の探索や評価ができることを見出した。100度台で進むRWGSの実現により、CO2を主原料とするオンデマンド化学品合成の可能性が拓かれたという。民間企業などとの協力により、素晴らしい実用・事業化プロセスに仕上げていきたい、と抱負を述べている。

情報源 早稲田大学 トピックス
機関 早稲田大学
分野 環境総合
キーワード 水素 | 省エネ | オレフィン | 逆水性ガスシフト反応 | 有機化学反応 | 触媒技術 | 吸熱反応 | 電場印加 | オペランド分光 | オンデマンド化学品合成
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