新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、三菱電機が開発した新規パワー半導体チップの性能や今後の普及展開イメージを紹介した。三菱電機は、NEDO事業「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」において、「家電用インテリジェントパワーモジュール(以下『家電用IPM』)」の開発に取り組んできた(事業期間:2021~2023年度)。──三菱電機は、白物家電の代表格である「エアコン」の消費電力削減を目指し、消費電力の過半を占めるコンプレッサーの電気制御部(駆動用インバーター回路部)の改善を遂行した。主な改善点は、従来のシリコン(Si)パワー半導体チップに加えて、シリコンカーバイド(SiC)パワー半導体チップを採用した新しい駆動回路を設計し、それを最適化することで、より効率的な運転を可能としたことである。また、業界で初めて、家電用IPMを搭載したエアコンを製品化し、年間消費電力量の41%削減(従来製品比)を達成したことは目覚ましい成果と言える。なお、家電用IPMの外寸は従来のSiパワー半導体チップ搭載品と同一であり、既存基板での置き換えも容易となっている。──三菱電機は、2027年度を目標年度とするエアコンの新省エネ基準見直しを視野に入れている。本年4月22日から、主にエアコンなどへの搭載を目標として、家電用IPMのサンプル出荷を開始し、2050年カーボンニュートラルの実現を意識した経営姿勢を具現化していくという。