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 本質を探り、ペロブスカイト太陽電池の実用化試験に備える!

発表日:2024.02.05


  次世代型太陽電池と目され、欧州や中国、そして日本でも実用化に向けた研究・技術開発が進められているペロブスカイト太陽電池(HPSC: halide perovskite solar cells)――物質・材料研究機構(NIMS)は、実用環境に近い60℃・発電効率20%以上で1000時間連続発電できる1cm角のセルを開発した。HPSCの発電効率は太陽光発電の理論的な限界(Shockley–Queisser limit)である30%に迫りつつある。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業においても、本邦のメーカー・大学がフィルム状HPSCの作製や大面積モジュールの実現に力を注いでいる。こうした機運がある中、NIMSはペロブスカイト結晶の構造そのものに着目した研究を継続的に進めている。既存のシリコン系太陽電池に比べ、製造コストが安く、作製が容易で加工性に優れているHPSCではあるが、「耐久性」の確保・向上が実用化の妨げとなっている。ペロブスカイト層に侵入する酸素や水分による欠陥の発生が大きく関与することが分かっているものの、実際の劣化などを評価する段階には至っていなかった。本研究では、ペロブスカイトの電子輸送層側に有機アミン類を導入することで、半導体層と絶縁層が交互に積層した二次元 (2D) ペロブスカイトを作製し、発電効率を低減させる欠陥を取り除き、耐久性と発電効率の向上を図っている。金属表面の腐食作用に抵抗する酸化被膜が生じた状態を創出する、「不動態化(パシベーションとも言う)」処理を応用して得られた成果となる。NIMSは、本成果をHPSCの光電変換効率と長期耐久性の両立へ“大きな前進”と訴求している。より高温条件下における疑似太陽光照射や屋外試験、さらには長期信頼性を保証するための加速試験の確立などを展望している(掲載誌:Nature Communications、DOI: 10.1038/s41467-024-45228-9) 。

情報源 物質・材料研究機構 プレスリリース
機関 物質・材料研究機構
分野 環境総合
キーワード 太陽電池 | セル | モジュール | 結晶 | ペロブスカイト | 不動態化 | 有機アミン類 | 欠陥 | ペロブスカイト太陽電池特別推進チーム | ナノ材料科学環境拠点
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