茨城大学と(独)日本原子力研究開発機構は、重水素を燃料とする高効率的な燃料電池を共同開発したと発表した。重水素は、水素と比べて原子核に中性子をひとつ持つ点が異なり、酸素と反応すると重水になる。また、重水は自然水の中に0.015%の割合で含まれ、地球上に天然に広く存在している。今回、両者は、水素ガスの代わりに重水素を燃料とする固体高分子形燃料電池システムを開発し、その発電特性試験を行った結果、従来の水素ガスのものと比較して約4%高い発電特性があることを実証した。重水や重水素は、放射性物質ではないため、取り扱いに大きな困難はないほか、発電により生成した重水を回収し、別途電気分解にて再び重水素へ変換して繰り返し利用できるという。今後、今回開発した重水素燃料電池の応用先として、限られたスペースに高効率で燃料を搭載する必要のある深海巡航探査機への搭載などが考えられるという。