東京大学大気海洋研究所の平井講師らの研究グループは、海洋性ウイルスが動物プランクトンのカイアシ類に与える影響を明らかにした。カイアシ類は、植物プランクトンを主に摂餌し、魚類仔魚などの重要な餌となるため、海洋生態系において重要な役割を果たしている。一方、海洋性ウイルスは微生物や植物プランクトンに感染し、物質循環に大きな影響を与えるが、動物プランクトンとの相互作用については理解が進んでいなかった。同研究グループは、北海道紋別市オホーツクタワーで高頻度採集を行い、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析を行った結果、未報告のウイルスが検出された。さらに、定量PCR法でウイルスの検出率とカイアシ類の個体数の関係を調べたところ、ウイルスがカイアシ類の増減に関与している可能性が示唆された。すなわち、カイアシ類は海洋生態系で重要な役割を果たしており、ウイルスがその個体数や生理状態に影響を与えることが示された。これらの新知見は、海洋生態系におけるプランクトンとウイルスの関係のみならず、水産重要種の挙動を含む生態系全体の理解を深めることに資すると考えられる。
情報源 |
東京大学大気海洋研究所
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機関 | 東京大学大気海洋研究所 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 海洋生態系 | 動物プランクトン | 次世代シーケンサー | 海洋性ウイルス | カイアシ類 | RNA-seq | 定量PCR法 | ウイルス検出 | 生態系理解 | 水産重要種 |
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