広島大学大学院先進理工系科学研究科応用化学プログラムの尾坂教授、三木江助教、京都大学大学院工学研究科の大北教授らの共同研究チームは、「新しいπ電子系骨格を用いたポリマー半導体」の開発に成功した。──ポリマー半導体は、印刷プロセスで簡便に薄膜化できるため、次世代の電子デバイスへの応用が期待されている。高性能化の鍵は、高い電荷移動度を示すポリマー半導体の開発であり、その有効な手段としてπ電子系骨格の拡張が挙げられる。尾坂教授らは、広島大学が以前に開発した「ナフトビスチアジアゾール(NTz)」にチオフェンを組み合わせて構造を拡張した「ジチエノナフトビスチアジアゾール(TNT)」を新たに開発した。TNTを用いたポリマー半導体は、ポリマー鎖が剛直性を有しており、今回の研究において分子間相互作用の向上が図られ、効率的に電荷を輸送できるようになった。総じて、OFET(有機トランジスタ)ではTNT系ポリマーの電荷移動度がNTz系ポリマーに比べて大幅に向上し、アモルファスシリコンと同等の移動度である1.0 cm² V⁻¹ s⁻¹を超える高い値を示した。さらに、OPV(有機薄膜太陽電池)ではTNT系ポリマーのエネルギー変換効率がNTz系ポリマーに比べて1.3倍向上し、世界最高水準に近い17.4%という高い値を示した。IoT社会や低炭素化社会の実現に貢献する成果のひとつと言えよう。
情報源 |
広島大学 ニュース&トピックス(研究成果)
京都大学大学院工学研究科 最近の研究成果 |
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機関 | 広島大学 京都大学大学院工学研究科 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | エネルギー変換効率 | 有機薄膜太陽電池 | 低炭素化社会 | IoT社会 | ポリマー半導体 | 電荷移動度 | π電子系骨格 | ナフトビスチアジアゾール | ジチエノナフトビスチアジアゾール | OFET |
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