大阪公立大学の加登講師らは、泉北ニュータウン地域(大阪府堺市南区)でオンデマンドバスの実証実験を行い、高齢者の新たなテクノロジー受容度を分析した。オンデマンドバスは、急増する高齢者のラストワンマイルの移動を支える移動手段として期待されているが、高齢者の受容度は低い。──研究グループは、泉北ニュータウンのローカルアプリ「へるすまーと泉北」ユーザーを対象にアンケート調査を実施し、テクノロジーの受容と使用に関する統一理論モデルを用いて分析した。その結果、オンデマンドバスの利用行動は「周囲の人が乗っているので自分も乗ってみる」や「新しいモビリティをいち早く体験して、周囲に広めたい」などの周囲の影響と有意に関係することが分かった。また、高齢者では性能期待度が、成人では交通安全性が利用行動と有意に関係することも判明した。──実証実験の実施に当たり、南海電鉄と堺市はオンデマンドバスの利用方法を地域住民に周知する説明会を計47回開催し、635人の市民が参加したという。実証実験期間中にオンデマンドバスに乗車した市民は、累計3,253人におよぶ。今回の実証成果は、高齢者のテクノロジー受容度という問題に対するナッジの可能性を示唆している