海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、マイクロプラスチック(MPs)を迅速に分析する半自動分析装置「MARS」を開発した。──プラスチック汚染対策の国際条約では、海洋へのプラスチック流出を減少させる施策が盛り込まれる見込みだが、その効果を検証するためにはMPsの迅速な把握技術が不可欠である。しかし、従来の分析手法は手間と時間がかかり、非効率であった。──「MARS」は、反射型フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、画像解析、モーター駆動ステージを組み合わせた装置で、500µm以上のMPsを高速かつ非破壊的に測定・材質判別が可能である。サンプルプレートに粒子を並べ、測定開始ボタンを押すだけで、サイズ・個数・材質を自動測定し、結果はExcel形式で出力される。本装置により、作業効率は従来法の約6倍に向上し、初心者でも熟練者と同様の精度で分析が可能となった。また、劣化した環境由来MPsにも対応可能な独自のライブラリを備え、従来法と遜色ない正確度で材質を判定できる。──研究グループはMARSを「環境保全や政策立案に必要な科学的知見を効率的に提供する強力なツール」と訴求している(掲載誌:Environmental Science: Advances)。