京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 植物ゲノム情報学研究室の福島教授は、理化学研究所との共同研究において、モデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のストレス応答遺伝子を簡単に検索・可視化できる画期的なウェブアプリケーションを開発した。「AtSRGA(Arabidopsis thaliana Stress Responsive Gene Atlas)」と命名されたアプリは、乾燥や低温、高温など11種類のストレス条件下での遺伝子発現データを数値化し、ヒートマップで視覚的に表示することができる。バイオインフォマティックスの専門知識がなくても、ワンクリックで当該遺伝子のストレス応答性を確認できる。さらに、メタ解析を用いて多くの独立した研究データを統合し、信頼性の高いストレス応答スコア(SRscore)を算出することもできる。最大の特徴は、既知のストレス応答遺伝子の同定だけでなく、未知のストレス応答遺伝子の探索や評価にも利用できる点である。実際に、低温ストレスに対して強く応答する未知の候補遺伝子を選抜し、その発現パターンを実験で検証したところ、ストレスに応じて著しく発現が増減することが確認された。──AtSRGAは、植物科学や持続可能な農業の発展に寄与する情報基盤として期待されている。福島教授らは今後、重金属や栄養欠乏、病原菌など様々なストレスに関するデータを収集し、主要農作物への応用を目指すという。植物のストレス応答を可視化するこのツールが、気候変動下の農業技術などにどのような影響を与えるのか、今後の展開が楽しみである。
情報源 |
京都府立大学 報道・広報
理化学研究所 研究成果(プレスリリース) |
---|---|
機関 | 京都府立大学 理化学研究所 |
分野 |
自然環境 環境総合 |
キーワード | 情報基盤 | シロイヌナズナ | 持続可能な農業 | 遺伝子解析 | 遺伝子発現 | メタ解析 | ストレス応答 | ヒートマップ | 植物科学 | 公共データベース |
関連ニュース |
|