東京大学大学院理学系研究科の土松教授と須田修士課程大学院生らの研究グループは、日本に自生するアブラナ科の一種であるハクサンハタザオが、日本列島の気候に適応しながら進化してきたことを明らかにした。研究グループは、ゲノムワイド関連解析と地域集団特異的な自然選択のスキャンを統合的に解析し、日本のどの地域でどのような気候に対して自然選択が働いたのかを解析した。その結果、西日本や関西集団で夏季の高温に関連した自然選択が起き、高温耐性に関わる遺伝子に自然選択が働いた可能性が示された。また、中部や北日本集団では主に冬季や春季の乾燥に関連した自然選択が起き、ストレス応答に関連した遺伝子が適応に関与した可能性が示された。さらに、これらの知見から、日本列島に進出したハクサンハタザオが最終氷期以降に分布域を変化させ、各地域集団に分かれて多様化してきたことが示された。過去の気候変動への適応の理解は、将来の気候変動に対する植物の進化的応答の予測に役立つことが期待される。
情報源 |
東京大学大学院理学系研究科 プレスリリース
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機関 | 東京大学大学院理学系研究科 |
分野 |
地球環境 自然環境 |
キーワード | 最終氷期 | ゲノム解析 | 気候適応 | アブラナ科 | 高温耐性 | ハクサンハタザオ | 自然選択 | 遺伝子多様化 | ストレス応答 | 生態ニッチモデリング |
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