北海道大学大学院水産科学院の土屋氏らの研究グループは、沖縄トラフ深海底熱水活動域から分離された亜酸化窒素(N2O)還元細菌の経時的な「トランスクリプトーム解析」を行い、高効率なN2O還元活性を支える遺伝子発現プロファイルを明らかにした。──N2Oは温室効果ガスであり、オゾン層破壊物質でもある。一方、自然界でN2Oを窒素ガス(N2)へ還元する反応(脱窒)は、N2O還元酵素(NosZ)を有する微生物が担っている。研究グループは、沖縄トラフから新規の好熱性細菌HRV44T株を分離し、この株が近縁種よりも高いN2O還元能力を持つことを発見した。また、少量のRNAからでも実施可能な遺伝子発現解析手法を構築し、HRV44T株のN2O還元条件下での遺伝子発現動態を解析した。その結果、N2O非存在下でも高いレベルで脱窒に関わる遺伝子が発現していることが判明し、NosZの発現が転写制御因子によって負の制御を受けている可能性が示された。土屋氏らは「この研究成果は、N2O還元能を持つ微生物資源を地球環境浄化に活用するための基礎知見となる」と述べている。本研究成果は、2020年8月15日と2024年9月30日にiScience誌に掲載された。
情報源 |
北海道大学 プレスリリース(研究成果)
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機関 | 北海道大学 理化学研究所 ワシントン大学 |
分野 |
地球環境 自然環境 水・土壌環境 |
キーワード | 温室効果ガス | 環境浄化 | 脱窒 | オゾン層破壊 | 遺伝子発現 | N2O還元 | 深海底熱水活動域 | 好熱性細菌 | トランスクリプトーム解析 | NosZ |
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