2011年の国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にて、人権侵害リスクを特定・防止する手段として「デュー・ディリジェンス(以下「DD」という。)」概念が提唱され、企業によるDDプロセス実施が強く求められた。DDを巡っては欧州を中心に法規制化が進んでおり、EUの企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)ではDDの義務化を域外適用する動きが見られる。DDは、企業が環境や社会的責任を果たすための重要なプロセスであり、持続可能な成長を実現するための基盤となるものと理解されている。その範疇は、脱炭素や循環経済、ネイチャーポジティブなどにもおよぶ。──環境省は、日本企業にとってもDDは対応が喫緊の課題となっており、海外規制に対する効果的・効率的な対応を促進するために「環境デュー・ディリジェンス(環境DD)」の今後の取組について、計3回の懇談会を開催し、有識者の議論を取りまとめた。今回、懇談会の議論の結果を「議論のまとめ」として公表するとともに、企業が環境DDを進める上で特に重要と考える点を「ポイント」、さらに海外企業等の環境DDに係る取組状況を「DD事例集」として公表している。BouyguesやPuma、キリンホールディングスなどの具体的な取り組みを紹介し、企業がどのようにDDを実施し、透明性を確保しているかを示している。