総務省は本年7月23日に開催した「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ(第6回)」において、『自治体によるAI技術の活用に関する報告書(案)』を提示した。報告書では、人口減少に伴う人材不足や資源制約が深刻化する中、行政サービスの持続可能性を確保する手段として、AI技術の導入が重要であると位置づけている。
令和6年末時点、全国の自治体の過半数が生成AIを導入済・実証実験中・導入予定あり、AIによる業務効率化や行政の質向上への期待が高まっている。一方、AIに関わる人材不足・正確性への懸念などの課題も顕在化している。現在、国はこれらに対応するため、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」や「生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」に基づき、AIガバナンス体制の整備を進めている。
報告書(案)では、自治体向けガイドラインの更新が急務であると指摘。現在、生成AIに関するガイドライン未策定の自治体は1,004団体に上り、国が提示する「AI活用・導入ガイドブック」の改訂とひな形提供が求められている。また、ユースケースの横展開や国の先進事例の情報提供を通じて、自治体の導入判断を支援する方針も示された。
生成AIの活用に際しては、誤情報のリスクに配慮し、出力結果の人による確認や公開時の明示など、柔軟かつ慎重な運用が求められる。専門人材の不足やベテラン職員の退職によるノウハウ喪失を補完する手段として、部局ごとの業務への適用も推奨されている。――さらに、AI利活用の責任体制として、自治体におけるCAIO(Chief AI Officer)の設置が提案され、補佐官の共同設置なども検討されている。要機密情報の取り扱いについては、情報セキュリティポリシーに基づき、生成AIに学習させない仕組みの導入が必要とされる。人材育成面では、首長・幹部職員の理解促進、DX推進リーダーの育成、外部研修機関との連携などが重要とされている。
これらの方針は、国の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」にも位置づけられており、自治体の意見を継続的に反映しながら、AI利活用環境の整備が進められる予定だ。
情報源 |
総務省 報道資料
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機関 | 総務省 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 人材育成 | 公共政策 | 人口減少 | デジタル社会 | 生成AI | 行政サービス | 情報セキュリティ | 自治体DX | AIガバナンス | CAIO |
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