経済産業省をはじめとする7省庁が主催する「日本スタートアップ大賞2025」は、次世代のロールモデルとなるようなインパクトのある新事業を創出した起業家やスタートアップを表彰する制度である。起業家精神の醸成と社会的評価の向上を目的に、全国から230件の応募が寄せられ、内閣総理大臣賞を含む9件が選出された。
最高賞である内閣総理大臣賞には、Telexistence Inc.が選ばれた。同社は、AIと遠隔操作技術を融合したロボット「Ghost」を開発し、コンビニや物流倉庫など生活インフラ領域に導入。人間の身体性を伴う反復作業を代替することで、社会全体に時間的・所得的余剰を創出することを目指している。
経済産業大臣賞にはWHILL株式会社が選出された。同社は近距離モビリティの分野で、自動運転と手動操作の両サービスを展開し、インクルーシブな移動体験を提供。高齢化社会やバリアフリーの課題に対応し、国内外での事業展開を進めている。
農林水産大臣賞はリージョナルフィッシュ株式会社が受賞。ゲノム編集技術を用いた水産物の品種改良により、高温耐性や成長速度の向上を実現。水産業の持続可能性と地域振興に貢献している。
文部科学大臣賞には、アクセルスペースホールディングスが選ばれた。小型衛星技術を基盤に、災害監視や環境保護など多分野で活用可能な宇宙インフラを構築。大学発の研究成果を社会実装へとつなげている。
その他、医療支援プラットフォームを展開するファストドクター株式会社、低空域インフラを構築するTerra Drone株式会社、音声AI技術を活用するRevComm株式会社が各省庁賞を受賞。審査委員会特別賞には、女性向けキャリアスクールを展開するSHE株式会社と、保育ICTサービスを提供するユニファ株式会社が選ばれた。
本賞は、起業家の挑戦を社会的に称えることで、起業に対する意識の高揚を図る制度として位置づけられている。