北海道大学大学院水産科学研究院の山口篤准教授らの研究グループは、西部北太平洋亜寒帯循環域において画像イメージング機器「ZooScan」を用いた動物プランクトン解析を実施し、優占カイアシ類2属(メトリディア属・ユーカラヌス属)の個体群構造と鉛直分布の季節変化を明らかにした。
これまで動物プランクトンの解析は顕微鏡による同定と計数が主流であったが、画像イメージング技術の進展により、サイズやバイオマスの定量評価が可能となっている。本研究では、2010年10月から2011年7月にかけて、St.K2(47°N, 160°E)にて水深0〜1000mを8層に分け、昼夜別に採集した試料をZooScanで解析した。
メトリディア属では、4種が確認され、特に小型種メトリディア・パシフィカ(メト)は、昼間は深海に分布し、夜間には表層に移動する明確な日周鉛直移動を示した。一方、ユーカラヌス属のユーカラヌス・ブンギ(ブンギ)は日周移動を行わず、季節によって分布深度を変化させる季節的鉛直移動を示した。ブンギは大型で世代時間が1年以上あり、再生産期が明確であることが、分布パターンに反映されていた。
このように、同じ海域に生息する動物プランクトンでも、種ごとに異なる分布戦略を持つことが画像解析により明らかとなった。研究者は、「ZooScanによる解析は、魚類の餌環境評価において、従来法よりも短時間かつ高精度でのデータ取得を可能にする手法として有用である」と述べている。本成果は生物学分野のオープンアクセス誌「PeerJ」に掲載された。
情報源 |
北海道大学 プレスリリース(研究発表)
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機関 | 北海道大学 |
分野 |
自然環境 水・土壌環境 |
キーワード | 動物プランクトン | 北太平洋亜寒帯域 | 季節変化 | カイアシ類 | 鉛直分布 | 日周移動 | ZooScan | 画像イメージング | 餌環境評価 |
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