信州大学学術研究院繊維学系の施建准教授(繊維学部機械・ロボット学科)を中心とする国際共同研究チームは、太陽光を利用した新規の海水淡水化・廃水浄化技術を開発した(掲載誌:Chemical Engineering Journal)。
本研究では、天然由来のキトサン(CS)を基盤に、ポリビニルピロリドン(PVP)を分散剤、グラフェン(Gr)を光熱変換材として組み合わせた多孔質エアロゲル「CS/PVP/Grエアロゲル」を作製し、処理原水の蒸発効率と生体安全性の両立を実現した。エアロゲル(Aerogel)は、ゲル状物質から液体成分を除去し、代わりに気体で満たすことで得られる固体。体積の大部分が空気で占められ、極めて低密度かつ高い比表面積を持つため、軽量性・断熱性・吸着性・光熱変換性などに優れている。
本研究のエアロゲルは、太陽光を利用した水の蒸発・浄化に特化しており、3.5%NaCl溶液において2.57 kg·m⁻²·h⁻¹の蒸発速度を達成し、1日あたり最大15.1 kg·m⁻²の純水を回収可できる。また、主要金属イオンの除去効率は99.5%超に達し、7日間の連続サイクル試験や屋外実証試験でも高い耐久性を示した。特筆すべきは、生体影響評価において、ラディッシュ種子の発芽試験で塩ストレス回避が確認され、マウス由来細胞(NIH 3T3)では細胞生存率が対照群を上回る104~108%を示した点である。材料と生成水の双方が高い生体安全性を有することが実証された。さらに、染料廃水や酸性・アルカリ性廃水、油分を含む模擬生活排水に対しても高い浄化性能を示し、染料除去率は99.99%超、処理後の水は中性域へと改善された。――本研究は、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の支援を受けて実施された。
| 情報源 |
信州大学繊維学部 プレスリリース
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| 機関 | 信州大学繊維学部 |
| 分野 |
ごみ・リサイクル 水・土壌環境 環境総合 |
| キーワード | 海水淡水化 | グリーンテクノロジー | J-PEAKS事業 | 廃水浄化 | エアロゲル材料 | 太陽光利用 | 生体安全性 | 蒸発効率 | 水資源確保 | 環境調和型技術 |
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