九州大学大学院農学研究院らの研究チームは、外来害虫「フウノキギンバネスガ」の分布拡大と天敵寄生蜂の生態に関する調査結果を発表した(掲載誌:Applied Entomology and Zoology)。
フウノキギンバネスガはチョウ目の侵入害虫で、2017年に九州で初確認されて以降、街路樹や公園樹に広く植栽されるモミジバフウに深刻な食害をもたらしている。今回の調査では西日本の複数県で大発生が確認された。本研究では、兵庫・徳島・香川・愛媛県など西日本17地点で発生状況を調査し、DNA解析により複数回の侵入または大規模侵入の可能性が示唆された。また、天敵として5種の寄生蜂が確認され、その中でも日本初記録となる「スガヤドリチビアメバチ」は寄生率が高く、最有力の生物的防除資材候補とされた。一方で、スガヤドリチビアメバチは広食性であり、他の蛾類群集への影響が懸念されるため、在来生態系への影響評価が不可欠である。また、寄生蜂のDNA解析からは、ヨーロッパと日本間で人為的な分布拡大が起きた可能性も示された。研究チームは、今後の継続的かつ広域的な調査により、侵入経路の特定と生態系への影響評価を進める必要があるとしている。
| 情報源 |
九州大学 ニュース(研究成果)
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|---|---|
| 機関 | 九州大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 在来生態系 | DNA解析 | 分布拡大 | ハプロタイプ | 外来害虫 | フウノキギンバネスガ | モミジバフウ | 寄生蜂 | スガヤドリチビアメバチ | 生物的防除資材 |
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