気象庁は、南極オゾンホールの2025年の状況を衛星観測データに基づき解析し、その結果を公表した。
1987年に採択されたモントリオール議定書に基づくフロン類などオゾン層破壊物質の国際規制がある。これにより濃度は緩やかに減少し、オゾンホールの年最大面積は2000年頃から減少傾向にあるとみられている。
今年のオゾンホールは9月9日に最大面積を記録し、2,280万km²に達した。これは南極大陸の約1.6倍であり、最近10年間の平均値(約2,340万km²)と同程度である。1980年代以前と比較すると依然として規模が大きく、オゾン層保護対策の重要性が続いていることを示している。しかし、2025年の推移では7月下旬から極渦が安定し、成層圏の低温領域が広がったことで極域成層圏雲が多発し、オゾン破壊が促進された。9月以降は気温低下領域が縮小し、面積は減少に転じた。
国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)の科学アセスメントによれば、南極上空のオゾン層は2000年以降回復傾向にあり、1980年頃の水準に戻るのは今世紀半ば以降と予測されている。気象庁は、オゾン層が有害紫外線を吸収し、人の健康や生態系を保護する役割を持つことを強調しつつ、「今回の解析結果は、オゾン層保護の国際的枠組みの継続的な重要性を裏付けるもの」と述べている。