北海道大学と東京大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループは、北海道南部の河川におけるニホンウナギの生息要因を解析した。調査は105河川で実施され、ウナギの捕獲数と環境条件を比較した結果、夏季の水温が生息数を左右する主要因であることが明らかになった(掲載誌:PNAS Nexus)。
ニホンウナギは絶滅危惧種に指定され、国際的な保全の必要性が高まっている。本州以南に多く分布するが、北海道は北限域であり、生息実態の研究は限られていた。今回の調査では、河川ごとの捕獲数に大きな差があり、隣接する河川で似通う傾向も確認された。統計解析により、春季に河口へ接岸する稚魚の量だけでなく、夏季水温がウナギの生息数に強く関係していることが示された。
さらに、夏季水温は流域の土地利用や地質と関連していた。農地や市街地の割合が大きく森林が少ない流域、砂岩性地質が多い流域では水温が高く、ウナギの生息数も多かった。一方、森林が多く火山性地質が広がる流域では水温が低く、ウナギの確認数は少なかった。
研究グループは、今後未調査地域での調査を進めるとともに、水温上昇が生息状況に与える影響を予測し、河川環境の復元や遊漁規制の検討につなげるとしている。
| 情報源 |
北海道大学 プレスリリース(研究発表)
東京大学大気海洋研究所 プレスリリース JAMSTEC プレスリリース |
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| 機関 | 北海道大学 東京大学大気海洋研究所 海洋研究開発機構(JAMSTEC) |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 土地利用 | GIS | 地質 | ニホンウナギ | 構造方程式モデリング | 夏季水温 | 流域特性 | SEM | 相対量(単位時間当たり捕獲数) | 北限域 |
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