鹿児島大学総合研究博物館と大学院連合農学研究科の研究チームは、大学間国際学術交流協定校であるマレーシア・トレンガヌ大学との共同研究により、ハゼ科カブキハゼ属の新種Eugnathogobius ganuensisを記載した。本種の学名は、タイプ産地であるトレンガヌ地域のローカルな呼称「ganu」に由来する。
本種は2025年7月、同研究チームの現地魚類相調査の過程で採集された。採集地点は、調査チームが宿泊していた施設前の小規模な溝状水路で、幅約60 cm、水深は約5 cmと浅い。最初の個体が採集された段階では、外見が酷似する Eugnathogobius kabiliaの雄成魚と考えられていたが、標本作成の過程で別種の可能性が浮上した。これを受け、研究チームは翌日に追加調査を行い、幼魚と雌を含む計5個体を採集し、同属他種と形態的に識別できることを確認した。本種は、頭部感覚管をもたない点、眼後方に2本の縦縞がある点、体側各鱗に横縞をもつ点、肩部に不明瞭な黒色斜帯を有する点で E. kabiliaと最も近縁である。一方で、第1背鰭が雌雄ともに高く、特に雄では伸長した鰭条をもつこと、雌雄ともに上顎が著しく肥大しないこと、喉部が黄色であること、第2背鰭が黄色みを帯びることなどの形質により識別される。本研究では、本種を帰属させたカブキハゼ属およびその近縁属間における分類学的課題についても言及している。
タイプ産地の"ドブ"は都市部の人工的な水路であり、潮汐の影響を受けていると考えられたものの、採集時の塩分は0‰であった。この水路はトレンガヌ川に連絡していることから、本種の本来の生息環境は河川感潮域上部の低塩分環境と推測される。都市域の極めて小規模な水環境から新種が見いだされた点は、生物相調査の空白が意外な場所に残されている可能性を示すものである。
| 情報源 |
鹿児島大学 トピックス
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| 機関 | 鹿児島大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 鹿児島大学|トレンガヌ大学|新種記載|カブキハゼ属|Eugnathogobius ganuensis|都市水路|河川感潮域|魚類分類学|マレーシア|国際共同研究 |
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