(独)国立環境研究所は、アメリカ、スイス、カナダ及び日本(国立環境研究所、気象研究所)による「成層圏化学-気候モデルの検証(CCMVal)」の共同研究の成果として、南極オゾンホールが今後縮小すると、南半球対流圏の偏西風が赤道側では強まるものの、南極側では弱まる可能性があると発表した。これは、成層圏オゾン層の推移を将来予測する「化学-気候モデル」の計算結果に基づくもので、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(AR4)における「南半球全体で偏西風が強まる傾向にある」という予測結果とは異なっていた。現在、気候変動を予測する「気候モデル」には、オゾンホールの変化などの成層圏プロセスが充分に表現されていないことから、今後「気候モデル」と「化学-気候モデル」との連携により、成層圏プロセスを取り込むことが重要であるという。この成果は国際的な科学雑誌であるScienceに発表される。