「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)のザクリ初代議長は、第7回生物多様性トロンハイム会合で初の演説を行い、地球上の野生動植物種の急速な減少が人類の生存にも重大な脅威となると警告した。アマゾン熱帯雨林の減少をはじめ、環境の累積的変化が、やがて生物多様性とそのサービスを脅かす可能性を指摘。また、生物多様性の低下は広範にわたり、家畜・農作物でも種の減少が顕著であると述べた。家畜種では、現代人の需要に合わない品種等は絶滅の危機にあり、在来種の重要性の過小評価、均質的品種の導入などにより、遺伝的多様性が低下している。作物においても、遺伝的に統一され収量の多い作物種への切替えにより、既に遺伝的多様性の約75%が前世紀に消失。3万種の食用植物が存在するなかで、人間は熱量需要の大半を米や麦などたった30種に依存している。議長は、環境の変化に対応していくには遺伝子多様性は極めて重要であり、IPBESは生物多様性に関する科学的知見を政策につなぐ役割を果たせるとしている。