イギリス自然環境研究会議(NERC)は、農家の炭素排出削減を支援する無料のオンラインツール「クールファーム・ツール」(CFT)の新版を公開した。NERCの特別研究員と、農産物を用いる国際的飲料・食品各社(ペプシコやユニリーバ、ハイネケン等)が共同開発した。農産物による炭素排出総量の最大80%は、出荷以前に農場で発生しており、世界の人為的な温室効果ガス排出量の最大25%を農業が占めているという。CFTは、その削減のため、農家が最も費用効果的な方法を選択できるよう支援することを目的に、最新の科学に基づき、理解し実行しやすい形式で情報を提供する。CFTの旧版は既に世界中でさまざまな規模の農家が使用しているが、表計算ソフトの形に限定されていた。これに対し新版は、手軽なオンラインツールで提供され、貴重な情報が一層利用しやすくなったという。CFT開発者は、農業による炭素排出以外の環境影響(地域の水質や生物多様性への影響等)にもツール機能を拡張すべく開発を続けていくとしている。