アメリカ海洋大気庁(NOAA)の科学者チームは、海面上昇により急増している沿岸の生活妨害洪水の頻度に着目し、アメリカ沿岸域のほとんどで2050年までに、年間30日以上の生活妨害洪水に脅かされるという予測を発表した。生活妨害洪水とは、潮位が満潮時より1~2フィート上昇するもので、小規模ながら頻度が増せばインフラや住宅への損害が深刻になるという。チームはこの洪水の頻度に年間30日以上という基準(転換点)を設定、NOAA潮位測定局のデータ、2100年までの地球の海面上昇予測、地盤沈下などの地域的要素を考慮したところ、調査した沿岸域のほとんどが2050年までにこの転換点に到達または超過することがわかったという。海面上昇を控えめに想定しても、今世紀末までには、ほぼ毎日こうした生活妨害洪水が起こることが示された。チームはニューヨーク、ワシントンDCなど沿岸の諸都市は、その影響緩和策の決定にまもなく迫られるだろうとしている。