アメリカの海洋大気庁、地質研究所、および諸大学の科学者らは、気候変動が同国沿岸域の生態系や経済、地域社会に及ぼす影響を分析し、さらにその変動への適応に必要とされる科学データや戦略策定ツール等をまとめた報告書を発表した。これによると、アメリカの全沿岸域、特にメキシコ湾岸、中部大西洋岸、北アラスカ、島嶼地域の人口の多い低地部は、海面上昇や暴風雨、洪水など気候変動の影響に極めて脆弱で、今後災害保険関連の財務リスクが増加するという。また高潮浸水と海面上昇は、エネルギーや下水処理、輸送等のインフラに深刻な影響を与え、人々の健康や安全、雇用をも脅かすと指摘。現在、沿岸域の人口は国内人口の50%以上を占め、2011年のアメリカ経済への寄与は8.3兆ドルを超えるが、これは健全な沿岸の地形や水資源、河口等の自然資源に依存するものだという。この現状を踏まえ、気候変動の影響に対する適応力確保に向け連携した対策推進が必要だとしている。なお、この報告書はアメリカの「2013年国家気候評価」の情報源として使用されている。