フィンランド環境研究所(SYKE)などは、資源枯渇や気候変動に対処するためには、フィンランドの木材利用の方法を変革する必要があると報告した。木材は再生可能ではない資源の代わりに利用することでCO2排出量を削減できる一方で、樹木の伐採によって森林の炭素吸収能力が減少する。SYKEなどは、木材利用を増やすことが正味のCO2排出量削減につながるかどうかを把握するため、木材利用の複数のシナリオを想定し、樹木の伐採が森林の炭素ストックの変化に及ぼす影響と、再生可能ではない資源の代わりに木材を利用することが排出量へ及ぼす影響を組み合わせて予測した。その結果、樹木の伐採によって森林の炭素吸収能力が減少する影響が大きく、木材の利用増大によるCO2排出量削減の効果は限定的であることがわかった。SYKEは、現在の木材利用は正味のCO2排出量を削減するために最適であるとは言えず、木材利用が気候変動に及ぼす影響を考慮して木材利用チェーン全体を変革する必要があるとしている。