世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)プログラムは、観測網の拡大と質の向上により世界の大気化学について広範な評価が可能になったことから、世界および地域の反応性ガスの傾向に関する初の報告書を公表した。反応性ガスとは地表オゾン、窒素酸化物、一酸化炭素、亜硫酸ガス、揮発性有機化合物(VOCs)などで、その多くは有害汚染物質とされている。報告書では、VOCの長期的観測データを振り返り、過去および近年の傾向を分析した。VOC類には排出源や化学的性質が異なる多数の化合物があり、特定のVOCはPM2.5などの有害な粒子状物質になることがある。世界の観測網を通じた長期の測定により、こうした物質の地域ごとの排出状況の変化がわかるという。報告書は、大気科学の進歩と観測の統合促進による政策形成支援を主題に2017年4月に開催されたGAWシンポジウムで公表された。WMOは、温室効果ガス年報、両極のオゾン年報、浮遊粉塵年報など大気の状態に関する情報成果物の発行を増やしており、反応性ガス報告書もそれに続くものである。